「坊ちゃん列車」当面運休 運転士足りません 伊予鉄ダイヤ改正 郊外・市内電車とも減便

愛媛県中予地域を中心に路線網を有する伊予鉄道と伊予鉄バス(本社:松山市)は、2023年11月1日(水)に郊外電車・市内電車と路線バスの一部区間を対象としたダイヤ改正を実施します。

伊予鉄道市内電車区間で運行している観光列車「坊ちゃん列車」に使用されるディーゼル機関車14号機と客車(スイエンレイ/写真AC)
伊予鉄道市内電車区間で運行している観光列車「坊ちゃん列車」に使用されるディーゼル機関車14号機と客車(スイエンレイ/写真AC)

深刻な運転士不足と「2024年問題」

グループでは電車、バスとも運転士不足が深刻化しており、働き方改革関連法により時間外労働の上限が規制される2024年問題への対応も待ったなしです。これらが今回のダイヤ改正の理由であることを明らかにしており、全体を通して現状の労働力に見合った運行本数へと整理されます。

3路線ある郊外電車のうち郡中線では、平日ダイヤは現行から変わりませんが、土日祝日は約2割の減便となります。具体的には、日中から夕方にかけて1時間あたり1本削減され、現行の15分間隔から20分間隔へと開きます。また、夜間の列車1往復が平日のみの運行に変更されることにより、土日祝日は30分間隔に切り替わる時間帯が早まります。

市内電車では、松山市駅〜道後温泉間を結ぶ「松山市駅線」が平日・土日祝日ともに約13%減便され、日中は10分間隔から12分間隔に変わります。また、平日のみ運行している松山市駅〜本町六丁目間の「本町線」は、全体の半数にあたる昼過ぎ以降の運行がすべて取り止めとなり、早朝から13時頃まで7往復のみが残る異例のダイヤとなります。

運転士不足の影響は、土日祝日に運行している観光列車「坊ちゃん列車」にも及びます。11月3日(金・祝)以降、市内線区間に1日4往復設定されている坊ちゃん列車の全便について、当面の間運休することが決まりました。

地域活性化を目指し、明治から昭和にかけてこの地で親しまれた蒸気機関車の姿を復元し、2001年(平成13年)に運転を開始した坊ちゃん列車。路面電車に合わせた小さい車体の機関車と客車、人力による方向転換作業などが松山・道後の街並みにすっかり定着していただけに、再開の知らせを聞くことができるのか、心配なところです。

(郊外電車・市内電車・路線バスの11月1日ダイヤ改正内容、伊予鉄道電車路線図など詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】郊外電車・市内電車・路線バスの11月1日ダイヤ改正内容、伊予鉄道電車路線図

松山観光港〜道後温泉「リムジンバス」消滅寸前

伊予鉄バスでは合わせて11路線が見直されます。松山観光港と中心市街地、道後温泉を結ぶ「松山観光港リムジンバス」も対象で、松山観光港へ向かうバスは10便すべてが運休となります。松山観光港発も8便が運行取り止めとなり、小倉からのフェリーの到着を受ける早朝1便と、広島からの高速船・フェリーと接続する夜間2便を残すのみとなります。

瀬戸内運輸(本社:愛媛県今治市)と共同運行している一般国道経由の長距離バス路線「新居浜特急線」は、1日あたり12往復から8往復に減便されます。そのうち4往復あった伊予鉄担当便は1往復のみとなります。松山市と佐田岬半島の伊方町を結ぶ「八幡浜・三崎特急線」でも減便と区間運休が行われ、松山市駅〜三崎港口間の全線通しで運行するバスは1日わずか1往復にまで減らされます。

そのほか、「森松・砥部線」「松山空港線」などの市内路線や、郊外電車との連絡輸送を担うループ線などで減便や最終便の繰り上げなどが行われます。特に「三津ループ線」「梅本ループ線」は土日祝日の全便が運休となり、平日のみの運行となります。

中核会社の伊予鉄グループでは働き方改革の一環として、10月から「完全週休三日制」を本格導入しました。電車とバスの運転士についても、休暇を増やすよう年内に制度改定するそうです。全国平均と比べて高い男性社員の育児休暇取得率、充実した福利厚生といったメリットも掲げ、首都圏からのUターンも見据えたキャリア採用に注力して人材確保を狙います。

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